ツも笑った。
おもてのウォーニンの下でも、砂丘の上の粒のような人間たちが、動揺し始めたことを見た。何だろう? と伝馬の行方《ゆくえ》をさがしたが見えない。そのうちに、ブリッジで、船長とチーフメーツが腹を抱《かか》えて笑いころげているのを見た。そこへ、ブリッジから、非番になったコーターマスターがおりて来て、ボースンの伝馬が、巻き浪に巻き込まれて顛覆《てんぷく》したが、人命だけは人足に救われたことを知らせた。
彼らは、ウォーニンの柱やレールに上《のぼ》ったり、つかまったりして、それをながめようとした。けれども、波にさえぎられて見えなかった。彼らは下に降りて、寝そべりながら、彼らについて話し合った。
夕方になって、三上は、ふくれっ面《つら》をしてボースンと共に、また帰って来て、船長に、子細を告げた。ボースンは、船長に損害賠償を要求しようとしたが、テンで、デッキまでも上がらされなかった。すでに彼は、万寿丸のデッキさえも踏み得なくなっていた。そして、一切は浪にさらわれた!
三上は、再びボースンを送って行って、夜になって帰った。
ボースンは、横浜へ帰って、全く、くず鉄の山の中の一本のねじ
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