へはいってはならない。そんなことはあまりにわかり切ったことなのだ。それはやっぱり、飯の食えない、健康体の人たち、すなわち労働者たちが、命じられている仕事の一つなのだ。
藤原は、ボーイ長の寝箱のそばに腰をおろして、今日《きょう》の顛末《てんまつ》を話した。種々とその成り行きを述べて、こういった。
「労働階級は、君の場合のように、ハッキリ現われた場合だけ、資本制生産のために、その生命の危難に面するということを覚《さと》るのだが、それは実はもうおそすぎてるんだ。賃銀労働者であることが、すでに生命を搾取されていることなんだ。だから、工場法にだって、生命を失った場合に、その生命に対する支払い額のミニマムが決めてあるじゃないか、それが、労働力、いいかえれば、人間の生命力の搾取に、その基礎を置いてなっているものであるならば、それが、どんな形において生命が消耗されようと、ブルジョアジーにとって、驚くべき理由がないだろう。君の生命は、君にとって永久に大切であるが、ブルジョアジーにとっては、君の生命が搾取されうる間だけ、役に立ちうるというだけなんだ! 産業予備軍は無数だ! 僕らは今、一切残らず、そうい
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