の方へと急いだ。
停車場は室蘭の町をズッと深く入り込んで、馬蹄形《ばていがた》の一端に寄った方にあった。さびしい、終点駅であった。停車場は海岸の低地にあって、その上の方には、遊郭の灯が特に明るく光っていた。
冷酷な、荒涼たる自然であった。その前では人は互いにくっつき合い、互いが、互いに温《あたた》め合い、たすけ合わねばならないように感ぜしめられるのであった。
何だか、人なつっこくなるのであった。
船長はストキや船員を反撥《はんぱつ》して、登別へ引きつけられた。そこでは彼は自然の冷酷さからしばらく逃《のが》れうるのだ!
ストキはわめくような笑いを船長に浴びせると、そのままグルリと振りかえって、おもての方へ帰って行った。ボースンは、すごすごとついて行った。
おもてでは大工は、ボースンが来るのを、したくをすっかり済まして待っており、水夫たちは藤原の帰るのを待ちくたびれていた。
藤原は、おもてへはいった。食卓の前のベンチへ倒れるように腰をおろした。
「どうだったい」と皆はきいた。
「だめだ! 今度はチーフメーツだ」と彼は答えた。もし彼は、彼がボーイ長が診察を受け、治療を受ける
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