ろといわれてるようだが、よさないとあとでまたうるさいだろうぜ」
全くボースンにとっては、どちらにしても、あとでうるさい、面倒な事になったものであった。
ボースンは、ストキから、西沢、西沢から、波田へ、その禿《は》げた頭をつるつるなでながら、一生懸命で、仕事をしてくれるように頼んだ。
デッキでは、チーフメーツは青くなってしまった。彼は様子が悪いことを見てとった。しかし、どうにもならなかった。クレインの方では、チーフメーツの合図一つで、いつでも巻き上げようと、腕をたくし上げて待ってるのであった。デッキの上に、チーフメーツの怒鳴るために、人のことながらウロウロしていた仲仕たちは、にわかにボイラーの上から、水夫たちがおりたので、ぼんやりしてしまった。
二九
チーフメーツはデッキから、「ボースン!」と怒鳴った。
ボースンは、いよいよあわてて、いよいよ急にその禿《は》げ頭をなでて、頼むのであった。「ソラ怒鳴ってる! 後生だからこのボイラーだけ上げてくれ。そのあとでいくらでも話はつくじゃないか、ホラ、またわめいた。頼む、ストキ、西沢、な、波田頼む」
彼はこんなことをしゃべり
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