それをしっかり据え、方々から引っぱるための作業の困難で、とても面倒臭かったことを思いながら、それを取りはずすのだった。取りはずしは、取りつけから見ると、比較にならぬほど手軽に行った。
クレインは今、室蘭駅の機関庫の見える方から、その怪物のような図体を、渋々とランチに引っぱられて、万寿丸を目がけて近づいて来るのであった。四角な浮き箱の上に、二十五トンの重さの物を引っぱり上げるだけの力と、骨組みとを持った鉄の腕と、ウインチが装置されてあるのだ、けし粒ほどの小蟻《こあり》が黄金虫《こがねむし》か何かを引っぱるように、小蒸汽はそれを曳《ひ》きなやみつつ、じりじりと近づいた。
船の方では、いつでも、引き上げられるように、ボイラーはそのあらゆる拘束から釈放された。今はただ大きな腕が、自分をその牢獄《ろうごく》から引き出してくれるのを待つばかりだった。
クレインは近づいた。そしてその偉大な腕を、ヌッと本船のハッチの上へ差し延べた。それから、ワイアロープがブラ下がって来た。そのロープの尖端《せんたん》には人間の腕まわりほどの太さの鉤《かぎ》がついていた。この鉤自体が一人《ひとり》ではとても動かな
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