ボースンはそれを気にして、彼は、特に、一円を理髪代として貸した――菓子屋の来た時に彼は月二割の利子をむさぼるところのボースンの金を、一円借りたのである。ボースンも彼には菓子代は決して貸さなかったが、波田は理髪代といった――彼はそれで、一度に金つばを食ってしまった。
 彼は、神様を便所から見つけたが、菓子箱には貧乏神がいるとこぼしていた。「しかし、正月になれば、それも何とかなるだろうさ、くよくよしたもんでもないや」
 彼は自分に言い訳をしながら、沖売ろうのねえさんの所有に属する、菓子箱へと近づいた。
 「どうだね、うまい菓子があるかね」
 「みんな、うまいかすだわね」菓子屋のねえさんは、東北弁まる出しで答えた。
 波田は、うまそうな菓子を一種ずつ取って食べた。そして、そのたんびに計算を腹のなかで忘れなかった。金つばが食いたかったが、これは沖売ろうは持って来なかった。
 室蘭では、東洋軒という、室蘭一の菓子屋が作るだけであった。彼はそこのケークホールへ、その格好で平気で押しかけるのであった。
 ろくに食べた気のしないうちに波田は五十銭の予定額だけを食い尽くした。それ以上は借款によるよりほか
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