》の明けるまで辛抱しなさいね。決して短気を起こしたりなんかしないでね』ってやがるんだ。畜生! ばかにしてやがらあ、そしたら女のやつしくしく泣きながら、『あんたのようによく物のわかった、親切な人はありゃしない。私は、あなたが私の兄《にい》さんのような気がする』といいながら、何かしていてあとは聞こえなかったが、今度は、西沢め、『おれもお前が、私の妹のように思えてならない』ってやがるんだ。それからはもうほんのコソコソ話になってわからんから、おれは障子に、指に唾《つば》をつけて、穴をあけてのぞいてやったんだ。そうしたらお前」と、三上一流の頭脳に映じた、その場の情景を、全くおおうところなく、すっかり、さすがの西沢もいたたまれないほどの、描写をもって、そこに再現してしまった。そして最後に、「よくよくこいつには妹が沢山あって、方々で女郎をしてやがるんだ。そしてまた、妹のように感じる女とどうして、やつはああいうことができるんだろう。ど助平めだよ、あいつは」とつけ加えたのであった。そして、この点に関しては三上のいうことは真実であった。
わが兄弟たちは、船乗りになるまでに非常に多くの苦しい経験をなめて来
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