が立派なように、従ってその性欲も、船員のような性的に不都合きわまる条件の下《もと》に置かれては、あらゆる機会を血眼《ちまなこ》でさがし、それをおぼれる者が、藁《わら》をつかむように、しっかりとつかむのであった。彼は、その原始的教養の持ち主として、また、その性欲に関する奇行の創造者として、船内における人気者であった。
彼が、もしその執拗《しつよう》さを今少し制御することができたならば、彼の人気は、も少し深い意味におけるものになり得たはずであったが、何をいうにも、そのしつこさにはだれでも参ってしまった。そして、彼のこの特徴は、彼が遊郭に行く時に、最もよく発揮された。
西沢は、三上と一緒によく遊びに上がったものだが、それは、いくら西沢が逃げても隠れても、三上があとから、付いて行くことに原因したことだった。そして、三上は、西沢の室の前に、腹ばいになって、西沢の寝物語をすっかり聞いたりなどするのであった。それは、何のためであるかはだれにもわからない。ただ、西沢は、「おれと一緒に上がった晩」こういったというのだ。つまり「西沢が相手の女に向かって、『お前はどうしてお女郎になるような身になったんだ
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