通り、「隅から隅までルンペンである」かも知れない。それは、私も、絶えず、私に反問し、反省してゐる所である。だが、さういつたのは誰であるか。
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それから、私たちは、文学の事はクラブで、政治、経済上の闘争は、それ/″\の所属の団体で、とハッキリして、運動に入つた。
文士といふ、ハンデキャップをつけて、政治上経済上の闘争に、さ迷ひ込まれては、お互に迷惑だ。
今、「ルンペン共」は、社会大衆党の内部で「右翼的偏向」と闘つてゐる。
さて、本題に立ち帰つて、「どうすれば、真実な意味の、強いプロレタリア文学が生れるか」
私は、調べた芸術とか、プロレタリアリアリズムとか、難かしいもつともらしい文句から、全つ切り、傍道へ外れ込んだ。
私には、文学士の肩書も無ければ、それらしい何にも無い、参考にすべき外国の書籍も読めない。
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「えゝい! 捨て身でブッつかれ!」と、私は又、捨て身を引つ張りだした。その「捨て身」から、何と、私は、「遺言文学」といふ、文句を思ひついちまつたのだ。
「遺言文学」の文句を思ひついたのは、妻子を田舎に残して、私は一人で、間借りしてゐる、空家の二階であ
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