うでも仕上げてしまふ。為山氏は調子に乗つて画く、調子乗らざればいつまでも画かず、不折君は初より終まで孜々《しし》として怠らずに画く。これらの相異枚挙に遑《いとま》あらず。(二人相似の点もなきに非ず)
余はなほ多くを言はんと思ひしも不折君出発後敵なきに矢を放つもいかがなれば要求質問注意の箇条を節略して左に記し以て長々しき文章の終となし置くべし。
剛慢《ごうまん》なるは善し。弱者後輩を軽蔑する莫《なか》れ。
君は耳遠きがために人の話を誤解する事多し。注意を要す。(少しほめたるを大《おおい》にほめたるが如く思ふ誤即ち程度の誤最も普通なり)
人二人互に話し居る最中に突然横合から口を出さぬやう注意ありたし。
余りうかれぬやうありたし。
画の事につきてとかうの注意がましき事をいふなどは余り生意気の次第なれど余は予《かね》てより君に向つていひたく思ひながらもこの頃の容態にては君に聞ゆるほどの声を出す能はず、因《よ》つてここに一言するなり。そは君の嗜好が余りに大、壮などいふ方に傾き過ぎて小にして精、軽にして新などいふ方の画を軽蔑し過ぎはせずやといふ事なり。近年君の画を見るにややその嗜好を変
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