夜寒十句
正岡子規
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)歩行《ある》きて
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)只※[#二の字点、1−2−22]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ひや/\
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虚子を猿楽町に訪ひて夜に入りて帰途に就く。小川町に出づるに男女竪にも横にも歩行《ある》きて我車ややもすれば人に行き当らんとする様なり。彼等の半は両側の夜店をあさり行くにぞある。考へて見れば今宵は五十稲荷の縁日なり。我昔こゝらにさまよひし頃は見んとも思はざりし夜店なれど、此頃は斯《かか》る事さへなつかしく店々こまかに見もて行かんと思ふに実にせんなき身とはなりけり。古き雑誌書籍売る店、歯磨石鹸など売る店、根掛丈長など売る店の並びたる中に
[#ここから3字下げ]
縁日の古著屋多き夜寒かな
[#ここで字下げ終わり]
それ等を離れて曲り角に小き店を出し四角な行燈を地に据ゑて片側につたやと書き片側に大きんつばと赤く書きたるも淋し
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