高尾紀行
正岡子規

−−
【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)(例)※[#「えんにょう+囘」、第4水準2−12−11]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)きぬ/″\に
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

 旅は二日道連は二人旅行道具は足二本ときめて十二月七日朝例の翁を本郷に訪ふて小春のうかれありきを促せば風邪の鼻すゝりながら俳道修行に出でん事本望なりとて共に新宿さしてぞ急ぎける。
[#ここから2字下げ]
きぬ/″\に馬叱りたる寒さかな[#地から2字上げ]鳴雪
[#ここで字下げ終わり]
 暫くは汽車に膝栗毛を休め小春日のさしこむ窓に顏さしつけて富士の姿を眺めつゝ
[#ここから2字下げ]
荻窪や野は枯れはてゝ牛の聲[#地から2字上げ]鳴雪
[#ここから2字下げ]
堀割の土崩れけり枯薄[#地から3字上げ]同
[#ここから2字下げ]
雪の脚寶永山へかゝりけり
汽車道の一筋長し冬木立
麥蒔やたばねあげたる桑の枝

次へ
全5ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
正岡 子規 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング