野に來るや旅烏
煤拂のほこりの中やふじの山
【煙草道具 画賛】
吹きならふ煙の龍や冬こもり
手の皺を引きのばし見る火鉢哉
夜著かたくからだにそはぬ寒さ哉
廿五年 終りの冬 時節
いそがしく時計の動く師走哉
【高尾山〔二句〕】
凩をぬけ出て山の小春かな
不二を背に筑波見下す小春哉
小春日や又この背戸も爺と婆
冬川の涸れて蛇籠の寒さ哉
爲朝のお宿と書し寒さ哉
病人と靜かに語る師走哉
【松山會】
行年を故郷人と酌みかはす
初冬に何の句もなき一日かな
行年を鐵道馬車に追付ぬ
返事せぬつんぼのぢゞや神無月
屋の棟に鳩のならびし小春哉
御格子に切髮かくる寒さ哉
馬糞のいきり立たる寒さ哉
鳥居より内の馬糞や神無月
馬痩せて鹿に似る頃の寒さ哉
君が代は大つごもりの月夜哉
※[#「※」は「「韓」のへん+「礼」のつくり」、157−14]鮭も熊も釣らるゝ師走哉
魚棚に熊笹青き師走哉
年の尾や又くりかへすさかさ川
ありたけの日受を村の冬至哉
乞食寄る極樂道や小六月
仰向けぬ入道畠の寒さ哉
玉川に短き冬の日脚哉
年のくれ乞食の梦の長閑也
きぬ/\にものいひ殘す寒哉
年のくれ命ばかりの名殘哉
ぬす人のぬ
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