朝霜を洗ひ落せし冬菜哉
凩や追手も見えすはなれ馬
新聞で見るや故郷の初しくれ
時雨るや筧をつたふ山の雲

冬雜(天文除)

【高田の馬場にすむ古白のもとを訪ふて】
日あたりや馬場のあとなる水仙花

【一月廿二日夜半ふと眼を開けば※[#「※」は「あなかんむり+「聰」のつくり」、第3水準1−89−54、154−10]外月あかし扨は雨戸をや引き忘れけんと思ひて左の句を吟ず翌曉さめて考ふれば前夜の發句は半醒半梦の間に髣髴たり】
冬籠夜着の袖より※[#「※」は「あなかんむり+「聰」のつくり」、第3水準1−89−54、154−14]の月
炭二俵壁にもたせて冬こもり

【破蕉先生に笑はれて】
冬こもり小ぜにをかりて笑はるゝ
鰒汁や髑髏をかざる醫者の家
骨折て四五輪さきぬ冬のうめ
茶坐敷の五尺の庭を落葉哉
籔ごしやはだか參りの鈴冴る

【不忍池】
水鳥の中にうきけり天女堂
冬枯や蛸ぶら下る煮賣茶屋
ものくはでかうもやせたか鉢敲
達磨忌や戸棚探れは生海鼠哉
出つ入つ數定まらぬ小かもかな
犬張子くづれて出たり煤拂
鉢叩頭巾をとれははげたりな
面白うたゝかば泣かん鉢叩
宵やみに紛れて出たり鉢敲
森こえて枯
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