宵闇や露に引きずる狐の尾
色※[#「※」は「二の字点」、第3水準1−2−22、112−9]もなくて夜露の白さ哉
夕露に灰のつめたき野茶屋哉
 一作 掛茶屋の灰はつめたしきり/\す

時頼が露の袈裟ほす焚火哉
魂棚の飯に露おくゆふべ哉
すてられた扇も露の宿り哉
白露の中に泣きけり祗王祗女
猪や一ふりふるふ朝の露
月のさす帆裏に露の通りけり
大佛やかたつら※[#「※」は「「韓」のへん+「礼」のつくり」、113−3]く朝の露
ふじは雲露にあけ行く裾野哉
白露の中に重る小鹿哉
目にさわるものなし月の隅田河
名月やうしろむいたる石佛 我黒ノ句ニ 名月に後むいたるかゝし哉
[#「我黒ノ句ニ 名月に後むいたるかゝし哉」は「名月やうしろむいたる石佛」の下にポイントを下げて2行で]
白露の中に乞食の鼾かな
十六夜の闇をこじきの焚火哉
かさの露動けは月のこぼれけり
秋風やらんふの笠も破れたり
陣笠に鶴の紋ありけふの月
笠いきて地上をはしる野分哉
秋風や京の大路の朱傘
つる/\と笠をすへるや露の玉
朝霧や女と見えてたびの笠

【送錬卿赴兵庫〔二句〕】
聞きにゆけ須磨の隣の秋の風
秋の雲いよ/\高く登りけり

前へ 次へ
全74ページ中47ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
正岡 子規 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング