髮長き野分哉
吹きとつて雨さへふらぬ野分哉
から笠につられてありく野分哉
捨舟はかたよる海の野わき哉
からぐろの葉うつりするや露の玉
露の玉小牛の角をはしりけり
ほろ/\と露の玉ちる夕哉
つぶ/\と丸む力や露の玉
稻妻の消て不知火かすか也
芋の露われて半分は落にけり
白露の上に濁るや天の河
星一ツ飛んで音あり露の原
夕月に露ふりかける尾花哉
草の露こぼれてへりもせざりけり
芋の葉に月のころがる夜露哉
火葬場の灰におきけり夜の露
名月や露こしらへる芋の上
露いくつ絲瓜の尻に出あひけり
萩の露疊の上にこぼしけり
夜の露もえて音あり大文字
花火やむあとは露けき夜也けり
よもすがら露ちる土の凹みけり
かな
[#「かな」は「けり」の左側に注記するような形で]
白露を見事にこぼす旭哉
稻妻に露のちる間もなかりけり
白露や蕣は世に長きもの
灯のちらり/\通るや露の中
白露のうつくし過ぎて散にけり
仲國がすそごの袴露重し
白露やよごれて古き角やぐら
闇の空露すみのぼる光り哉
風吹て京も露けき夜也けり
白露の中にうつくし乞食小屋
露夜毎殺生石をあらひけり
佛像の眼やいれん露の玉
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