る別れ哉
山吹の垣にとなりはなかりけり
さゝやかな金魚の波や山つゝし
かけはしやあぶないとこに山つゝし
  の目にはさまりし にては如何
石橋に芽のすりきれる柳かな
[#「の目にはさまりし」は「に芽のすりきれる」の右側に、「にては如何」は「柳かな」の右側に、注記するような形で]
烏帽子着た人も見ゆるや嵯峨の花
乞食の嫁入にぎわし花の山
大木に喰ひついてさく梅の花
くひついて古木に咲や梅の花
[#「大木に」と「くひついて」の句の上には、この二つの句を括る波括弧あり]
片枝は磨鉢黒し梅の花
櫻ちる此時木魚猶はげし
紅梅や雪洞遠き長廊下
灰吹にした跡もあり落椿
一鞭に其數知れず落椿
いもうとの袂探れば椿哉

【十六日櫻】
孝行は筍よりも櫻かな

【西山山内神社】
西山の花に抱きつく涙哉

【伊豫太山寺】
菎蒻につゝじの名あれ太山寺
荒れにけり茅針まじりの市の坪

【椿神社】
賽錢のひゞきに落る椿かな

【松山】
古町より外側に古し梅の花
日うけよき水よき処初櫻

【松山】
白魚の又めぐりあふ若和布哉
梅ちらり/\と松の木の間哉
櫻より奧に桃さく上野哉
三日月のほのかに白し茅花の穗
此頃は井出
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