の山吹面白し
瓦斯燈にかたよつて吹く柳哉
【山内神社】
西山に櫻一木のあるじ哉
紅梅や式部納言の話聲
花にさへぬす人の名のもの/\し
紅梅の一輪殘る兜かな
洋本の間にはさむ櫻かな
御白粉に白うよごれし菫かな
梅の花白きをもつてはじめとす
石炭の車ならぶや散る櫻
花の雲博覽會にかゝりけり
【上野】
黒門に丸の跡あり山さくら
【よし野】
醉ふて寐て夢に泣きけり山櫻
四斗樽を床几に花の木陰哉
井戸端の櫻ちりけり鍋の底
紅梅の可愛や雪の朝朗
花に來て花にこがるゝ夕哉
何程の事かあるべき花の雨
朝櫻駒のひづめのひや/\と
花ちるや人なき夜の葭簀茶屋
わびたりや小鍋にまじる雪若菜
はいつてはくゞつては出ては花の雲
家一つ花より上に見ゆるかな
しんとして露をこぼすや朝櫻
さん候いかさま花の都かな
花盛知らぬ男のいだきつく
茶屋もなく酒屋も見えず花一木
青海苔や水にさしこむ日の光
【四月十四日朝梦想】
骸骨となつて木陰の花見哉
梅若の夢をしづむる柳哉
梅正に綻びそむる紀元節
李の花に宮司の娵の端居哉
浪花津は海もうけたり梅の花
馬繋ぐ薄紅梅の戸口かな
紅梅に琴の音きほふ根岸哉
[#改頁]
廿
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