の梦
傾城は屏風の萩に旅寐哉
七草に入らぬあはれや男郎花
大名の庭に痩せたり女郎花
世や捨てんわれも其名を菊の水
うき人にすねて見せけり女郎花
一枝の紅葉そへたり妹が文
明耿※[#「※」は「二の字点」、第3水準1−2−22、147−15]朝日に並ぶ菊花※[#「※」は「糸へん+章」、147−15]
朝※[#「※」は「白+はち」、第3水準1−14−51、148−1]は命の中のいのちかな
井のそこに沈み入りけり桐一葉
椎の實や袂の底にいつからぞ
横雲のすき間こほるゝもみち哉
朝霧の杉にかたよるもみち哉
谷深く夕日一すぢのもみち哉
一村は夕日をあびる紅葉哉
をり/\に鹿のかほ出す紅葉哉
どの山の紅葉か殘る馬の鞍
牛の子を追ひ/\はいるもみち哉
鷄の鳴く奧もありむらもみち
馬の背の大根白し夕もみち
盆程の庭の蒔繪や菊もみち
下闇に紅葉一木のゆふ日哉
いろ/\の紅葉の中の銀杏哉
藪蔭に夕日の足らぬもみち哉
絶壁に夕日うらてるもみち哉
岩鼻に見あげ見おろす※[#「※」は「木へん+色」、第3水準1−85−64、149−3]哉
道二つ馬士と木こりのもみち哉
小原女の衣ふるへばもみぢ哉
背に烏帽子かけた仕丁や薄※[#「※」は「木へん+色」、第3水準1−85−64、149−6]
傘にをり/\見すく※[#「※」は「木へん+色」、第3水準1−85−64、149−7]哉
千山の紅葉一すぢの流れ哉
眞黒に釣鐘暮れるもみち哉
松明の山上り行くもみち哉
駕下りて紅葉へ二里と申す也
兩岸の紅葉に下す筏かな
紅葉やく烟は黒し土鑵子
火ともせはずんぶり暮るゝ紅葉哉
猿引の家はもみちとなりにけり
關守の徳利かくすもみち哉
夕もみち女もまじるうたひ哉
神殿の御格子おろす※[#「※」は「木へん+色」、第3水準1−85−64、150−3]哉
廊下から手燭をうつす※[#「※」は「木へん+色」、第3水準1−85−64、150−4]哉
煙たつ軒にふすぼるもみち哉
辨當を鹿にやつたるもみち哉
山寺に塩こぼし行く※[#「※」は「木へん+色」、第3水準1−85−64、150−7]かな
をさな子の手に重ねたるもみち哉
尺八の手に持ちそふるもみち哉
町ありく樵夫の髮にもみち哉
おろ/\とのんで風呼ぶ薄哉
井戸堀や砂かぶせたる蓼の花
朝顏の日うら勝にてあはれなり
吹きかへす風の薄のそゝけ哉
竹垣や菊と野菊の裏表
早し遲し二木の桐の
前へ
次へ
全37ページ中32ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
正岡 子規 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング