がために後にも字餘りの句を置かねばならぬ場合は屡※[#二の字点、1−2−22]有之候。若し字餘りの句は一句にても少きが善しなどいふ人は字餘りの趣味を解せざるものにや候べき。
[#地から2字上げ]〔日本 明治31[#「31」は縦中横]・3・3〕
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 十たび歌よみに與ふる書


 先輩崇拜といふことは何れの社會にも有之候。それも年長者に對し元勳に對し相當の敬禮を盡すの意ならば至當の事なれどもそれと同時に何かは知らず其人の力量技術を崇拜するに至りては愚の至りに御座候。田舍の者などは御歌所といへばえらい歌人の集り、御歌所長といへば天下第一の歌よみの樣に考へ、從つて其人の歌と聞けば讀まぬ内からはや善き者と定め居るなどありうちの事にて生も昔は其仲間の一人に候ひき。今より追想すれば赤面する程の事に候。御歌所とてえらい人が集まる筈も無く御歌所長とて必ずしも第一流の人が坐るにもあらざるべく候。今日は歌よみなる者皆無の時なれどそれでも御歌所連より上手なる歌よみならば民間に可有之候。田舍の者が元勳を崇拜し大臣をえらい者に思ひ政治上の力量も識見も元勳大臣が一番に位する者と迷信致候結果、新聞記者
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