歌よみに與ふる書
正岡子規

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)仰《おほせ》の

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)相成|間敷《まじく》候

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行數)
(例)※[#「さんずい+氣」、第4水準2−79−6]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)いろ/\申し殘したる事は
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 歌よみに與ふる書


 仰《おほせ》の如く近來和歌は一向に振ひ不申《まをさず》候。正直に申し候へば萬葉以來實朝以來一向に振ひ不申候。實朝といふ人は三十にも足らでいざ是からといふ處にてあへなき最期を遂げられ誠に殘念致し候。あの人をして今十年も活かして置いたならどんなに名歌を澤山殘したかも知れ不申候。兎に角に第一流の歌人と存候。強《あなが》ち人丸赤人の餘唾《よだ》を舐《ねぶ》るでも無く固《もと》より貫之定家の糟粕《さうはく》をしやぶるでも無く自己の本量[#「量」に「ママ」の注記]屹然として山嶽と高きを爭ひ日月と光を競
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