ワしたよ。」
はあいと答えて、すぐ階上のバス・ルウムへはいる気配がした。ロイドとマアガレットと、二人一緒にはいろうと言うのだった。まずマアガレット[#「マアガレット」は底本では「マアガレッド」と誤植]が、着ていたガウンを脱いで、含羞《はにか》みながらまだ処女らしいところの残っている若々しい身体を浴槽へ沈めた。浴槽の花嫁だ。ロイドはそれに見惚《みほ》れていて、着物を脱ごうとしなかった。マアガレットが促《うなが》すと、彼はそのままシャツの腕まくりをして、浴槽へ近づいて来た。そして、静かにマアガレットの顔へ手をかけたので、彼女は、また接吻でもするのだろうと思って、にっこりして男の方へ顔を向けた。そこをロイドは、いきなり頭を掴《つか》んで、やにわに股の間へ捻《ね》じ込んでしまった。そしてしばらく満身の力でおさえつけていた。階下にいたブラッチ夫人は、頭の上の浴室で、踊るような跫《あし》音がするのを聞いた。ちょっと静かになった。すると一声笑うような声がして、湯を撥《は》ね返す音がした。なにを風呂場で戯《ふざ》けているのだろう。若い人はしようがないと思っていると、やがて溜息《ためいき》のような長い
前へ
次へ
全53ページ中36ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
牧 逸馬 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング