}アゲイトでスミスの帰りを待っていた。エデスはこのスミスの活躍をすこしも知らずに、商売物の骨董《こっとう》のことで各地を旅行していることと信じきっていたというのだ。このベシイ殺しの後でも、われわれは、すぐエデスのふところへ飛び帰って、一緒に生活しているジョウジ・ジョセフ・スミスを発見する。ベシイ・コンスタンス・アニイ・マンディのことなどは、彼はすでにけろりと忘れていた。When they're dead they're dead. だ。比較的大金を持って来たことをエデイに説明して、カナダで掘出物をして思わない儲《もう》けにありついたのだと言っている。約二年間、二人は呑気《のんき》に居食いして暮らした。が、ふたたぴポケットが淋しくなったスミスは、またぞろ「掘出物」を捜して、今度は英国南部の海岸へでかけた。一九一三年の秋だっだ。そうしてその十月には、そこのアストン・クリントンであのアリス・バアナムに接近していたのだ。
 一九一四年の十一月だった。
 クリフトンの町である。牧師の娘で、他家の小間使いに行っているマアガレット・エリザベス・ロフティという二十三になる女が、ジョン・ロイド―― Joh
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