買Fンダア・ヒル銀行に現われて、預金の全部をおろした。そしてただちにブロックウェル公園の近くにデルフィルド夫人という老婦人の経営する下宿屋を発見して落ち着いたのだが、この家に浴室のあったことはもちろんである。また、二、三日して、チャアルス・オリヴァ・ジェイムス氏が、どこもなんともないアリス・ジェイムス夫人を、近所の医師アレキサンダア・ライスのもとへ同伴して診察を乞《こ》うたことはもちろんである。花嫁の入浴、日用品を買いにちょっと外出したと見せかけたジェイムスの現場不在証明《アリバイ》、浴槽における花嫁の溺《でき》死、アレキサンダア・ライス医師の簡単な死亡証明書、涙の葬《とむら》い等、すべて前の事件と同じであることも、またもちろんである。When they're dead they're dead. 明瞭すぎる事実だ。
3
ベシィ・コンスタンス・アニイ・マンディ―― Bessy Constance Annie Mundy ――という長たらしい名の女は、ブリストルのロイド銀行出張所支配人 Reginald Mundy の娘で、三十三歳になる老嬢だった。父の遺産二千五百ポ
前へ
次へ
全53ページ中17ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
牧 逸馬 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング