ドさんに、ぐっすり眠って頂き度いのです。被告を始め、誰も彼も狂気のようなこの法廷の中で、只一人、真面《まとも》な人間らしい人は、ジュッドさんだけだ。ジュッド氏の眠りを妨げてはいけない」
ちょっと、めりけん大岡越前守というところ。
一月二十八日、裁判は一時中止される。翌二十九日は、ルウス・ジュッドの二十七回の誕生日で、ジュッド氏は獄中の妻へ白いカアネエションの花束を贈った。が、いくら亜米利加でも、誕生日が来たので裁判を休んだという訳でもあるまい。然し何といっても呑気なもので、ルウスはこの日、許可を得て、監房内へ美容師を呼び入れ、パアマネント・ウエイヴをかけたりしている。ここらは、鳥渡想像が出来ない。
二月八日月曜日、午後五時。裁判長ロジャアス氏は起立して、陪審員の判定を読み上げる。
「被告を最重の殺人犯と認め、死刑に処す」
この判決を他人《ひと》事のように聞いていて、ルウスは眉毛一つ動かさなかった。ジュッド医師が、彼女をしっかり抱き締めて接吻をしても、ルウスは機械のように、される儘になっているだけで、何の感動も、興奮も示さなかった。が、その抱擁から引き離されて、女看守に手を取られ
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