分に、ルウス・ジュッドは看守マクファデンと女看守ロン・ジョルダン夫人と一緒に、郡刑務所から自動車で、アリゾナ州フォニックスへ向う。この「天鵞絨の女虎」を追って、羅府を始め、加州の新聞社の自動車が数十台となく国道に続いた。ルウスの次ぎの車には、ジュッド医師と、アリゾナの警察官一行が乗り込んで、一同無言だった。それは不思議な、深夜の自動車行列だった。
 一九三一年十月三十日、自動車は、州境に差掛って、此処で、州と州との間に、犯人引渡しの形式的な手続がある。
 フォニックスの町を自動車を駆って刑務所へ急ぐ間、ルウスは、車の窓から懐しそうに外を見つづけた。その出現に依って、この田舎町が一躍有名になった「われらの女虎」の一瞥を持とうという両側の群集も、ルウスの眼には這入らない様子だった。
 裁判は、一九三二年――今年――一月十九日に、フォニックス市法廷で開かれた。若い美しい、兇悪な殺人犯は、蒼白い顔に平静な色を浮かべて、まるで劇場にでも這入るように、法廷へ現れた。サミイが先に撃ったので、止むを得ず自分も発砲したというのは、彼女の弁護の建前で、終始一貫して、此の主張だった。
「この犯罪の真実の動機
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