しようのないことじゃないですか」
ルウスはにこにこ笑っていて、何とも答えなかった。
共犯はなかった模様だが、あの犯行の翌日、彼女がグルノウ療養院に現れた時、左手に怪我などしていなかったということで、これにはアリゾナから証人が呼ばれたりなど、大問題になったが、結局、痛みを隠して繃帯をしていなかった為めに、誰も気が付かなかったのだろうということだった。トランクは自宅にあったのを、フランク・シュワルツという運送屋に頼んで、兇行の現場まで運ばせ、其処でアンの死骸と、ばらばらに料理したサミイの屍体とを詰め込んで、出発の夕方、自宅東ブリル街一一三〇番地の家主ハルナンに頼んで、停車場まで運んで貰ったのである。サミイの胴の中央部だけはスウツケイスに、入れて、手荷物として自分と一緒に羅府へ持って行ったことは前に言った。フォニックスから羅府までの車中、彼女の世話をした列車ボウイ、グリムも、そのトランクを認めたと言い、また、決して、ボウイにも其の鞄に手を触れさせなかったと、交番で述べた。
ジュッド医師は、妻のために羅府第一の弁護士ポウル・W・シェンクを立てる。
十月二十九日火曜日の夜、九時三十七
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