で、一歩も部屋から出ずに、息を凝らしていたというのだ。あの悲痛な、良人ジュッド氏の新聞広告などは、彼女の眼に触れなかった。ただ堪らなくなって電話帳を借りて、ああしてラッセル判事の許へ掛けたのである。
フォニックス地方検事アンドリウスが、次ぎに訊問にかかって、
「あなたは何か隠していますね。犯罪のほんとの動機は何です?」
「動機と言って――あの時、ちょっと喧嘩しただけのことが、こんな結果になったんですわ」
「何のために、サミイの死骸をあんなに虐たらしく切り離したんですか」
「それだけは訊かないで下さい。あたしにも解らないのです。覚えがないんです。気が附くと何時の間にか、あんなことになっていました」
「屍体をトランクに詰めた時のことを、委しく話して下さい」
「――」
これらのことは、ルウスは詳細に陳述したのかも知れないが、記録には、こんなようなところは、器用にぼかしてある。あまりにグロで風壊の恐れがあるので、公表されなかったものだろう。
「正当防衛か、或いは瞬間の発狂というようなことで、あなたは、自分の罪を軽くしようとしていますね。死人に口無しだ。サミイが先に発砲したなんて、他に証明の
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