、殺すつもりなどはなかったんです。サミイがピストルを持って来て、今すぐ此処を出て行け、出ないと撃つと言って、あたしを狙いました。あの晩、サミイのことで、アンと私が口論になった時、サミイがアンの肩をもって、こんな態度に出たのです。あたしは夢中で、片手でサミイの拳銃を握りながら、其処にあった麺麭《パン》切りナイフに手を掛けました。途端にサミイが引き金を引いて、この左の手へ当ったのです――」
テイラア課長は、興味を示すまいとする努力で、不自然な欠伸《あくび》を作りながら、
「ああ、眠くなった。今夜はもう止しましょう。お話しは、明日にでもゆっくり伺いますから――」
起とうとすると、ルウスは眼をきらめかして止めて、
「待って下さい! あたくし、すっかりお話ししてしまわなければ、とても眠られないんです!」
迷惑そうに、テイラア課長は渋しぶ椅子に返る。
「サミイが先に撃ったんですね。で、奥さんは何うなさいました」
「それが、この、左の手に当ったんです。あたしは、もう夢中でした。全身の重みで、サミイを押し倒しますと、アンが大声に叫んで、食堂へ走り込んだと思うと、大きな旧式な拳銃《ピストル》を持っ
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