て直ぐ飛び込んで来ました。あたしは何時の間にか、サミイのピストルを拾い上げて、手に持っていました。無意識でした。二発撃ったんです」
課長の背後の卓子《テエブル》で、紙に滑る秘書の鉛筆の音が微かに響く。
ルウスは一切気が付かない様子で、
「気がつくと、二人とも床に倒れていました。あたしはとても悲しかったんです。サミイがあたしを撃ったことが、何よりも悲しゅうございました。サミイの死骸を抱き起して、何時まで泣いていたか、覚えていません。死骸を台所にそのままにして、一と先ず家へ帰ったんです。そして、良人に宛てて手紙を書くと、朝までぐっすり眠りました」
自白はこれで、一と先ず終っている。
テイラア課長は微笑して、
「相手が先に引き金を引いたんだから、つまり、正当防衛という訳ですかな。ははははは、仲なか巧いことを言う――まあ、奥さん、それはそれとして、何卒《どうぞ》これに御署名を」
秘書から告白の写しを受取って、その下段の余白を指さしながら、課長はルウスにペンを握らした。
あの日の正午、この羅府の下町で弟の自動車を下りてから、ルウスは群集に紛れて町を歩き廻ったのち、ウールウオウスの
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