ったのである。小柄な、色白の愛嬌のある顔立ちで、友達仲間に評判もよく、自宅に発見された手紙は、凡べてそれを証拠立てていた。言い寄る男なども、少からずあったようで、その中に、或る上院議員からの猛烈なラヴ・レタアのあったことは、ちょっと人々を驚かしたりした。
斯ういう殺人事件の犠牲者は、よく刻明に日記をつけているものだと言われている。こんな事をいうと、日記をつける人がなくなるかも知れないが、サミイもその一人で、実に死の二日前まで、日記が続いているのだ。青い小さな日記帳――最後の日附は十月十五日で、こんなことが書いてある。
「人間は何うしてこう争ってばかりいるのだろう。それが嫌さに、私はこの沙漠の荒地に隠れたのだった」
その年の六月六日の分には、
「修身甲の生徒。私はほんとにそれだ。子供の時分の肉体的影響と遺伝――メンデルの法則通りに私も動くのだ。快楽主義――これだけが人間の最後の目的なのだろうか」
九月二十五日の頁《ペイジ》を見ると、ただ一行、
「今日で丁度、病床生活一年間」
アグネス・アン・ルロイは、オレゴン州テラムウクの生れで、本名は、アグネス・イムラア。同州ポウトランド市、グ
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