段に出でた。
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「汝今こそ鉄面皮に大言を吐けども、元来理髪師の子ではないか。」
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罵《ののし》り得たりと彼は肩を聳《そびや》かしたが、忽ち静かなる反問を請けた。
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「汝は如何。」
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昂然として答えて曰く、
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「余は法律家の子なり。」
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テンタルデンは冷かに笑った。
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「汝は法律家の子なりしが故に法律家となり得たのであるか。幸福なることよ。もし汝をして吾輩の如く理髪師の子ならしめば、今頃は客の頤《あご》に石鹸を塗っているところであったろうに。」
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七六 法廷の掏摸
サー・トマス・ムーア(Sir Thomas Moore)がロンドン府裁判所判事長の職にあった時、部下の一判事に、甚だ片意地な男があった。窃盗|掏摸《すり》などの事件を断ずる場合に、彼は加害者を詰責せずして、かえって被害者を叱り付け、この災害は汝自身の不注意から自ら招いたものであるから、今更誰を怨むべきようもないと罵
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