ネった。即ち、一は一般に各種の法律に通ずる法例で、他は刑法および商法の首章に掲げた法例の如く、その法典中の条規の適用に関する例則を称するのである。この二種の法例は、普通法と特別法との関係を有するものであるから、前者はこれを一般法例と称し、後者はこれを特別法例と称することが出来よう。
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五五 準拠法
準拠法は、我輩が明治二十九年法典調査会において法例を起草した際、マイリ(Meili)などのドイツ国際私法論者が用いた Massgebendes Recht という語に当嵌《あては》めた訳語であって、初めてこれを法例理由書の中に用い、その後広く行われるようになったのである。
そもそも、この準拠なる成語は、「延喜式」の序にも見えて[#以下、「レ一二」は返り点]「準二拠開元永徽式例一」とあり、また明応四年八月の「大内家壁書」の中に用いられているものであるが、これより先、我輩が民法養子部の起草を担任した際に、「大内家壁書」中の「養子被レ改二御法一之事」の条中に、この語を名辞として用いてあったのを見て、一寸面白い成語であると思うておったから、法典調査会で法例各条の説明をした時
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