r[#「o」はウムラウト(¨)付き])という書があるが、これに載せてある法諺の数だけでも、三千六百九十八の大数に上っていることに依っても、その数の夥《おびただ》しいことが分る。しかし、これらは皆な法学または法術上の格言で、法律の原則を諺体《ことわざてい》の短句としたものであって、広く通常人民の間に行われる法の俚諺ではなかった。今、この種に属する格言的法諺の例を挙ぐれば左の如きものである。
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Ignorantia juris non excusat.
  法の不識は免《ゆる》さず。
Abus n'est pas coutume.
  悪弊は慣習に非ず。
Gesetz muss Gesetz brechen.
  法律を破るは法律を要す。
The king never dies.
  国王は死せず。
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 しかしこれら第一種の法諺は通常法律書にも載っており、その重《おも》なるものは皆な法律家のよく知っているところであるから、ここにはただ一、二を例示するに止めて置く。
 第二種の法諺即ち俚諺もその数は極めて多いものである。これは法学または法術上の原則を言い表わした短句ではなく、何人が作ったともなく、自然に民間に行われるようになったものもあり、あるいは聖賢の語が俚諺となったものもあって、その中には真面目なものもあり、諷刺的、詼謔《かいぎゃく》的なものもある。今ここに最も普通に行われている諸国の俚諺を英語に訳したものを挙げてみよう。

一 一般に法律については、
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For the upright there are no laws.(ドイツ)
  正直者に法なし。
Strict law is often great injustice.
 (Summum jus, summa injuria.)(キケロの語)
  最厳正の法は最不正の法なり。
   本邦「理の高じたるは非の一倍」に近し。
Like king, like law; like law, like people.(ポルトガル)
  君が君なら法も法、法が法なら民も民。
Laws are not made for the good.(ソクラテースの語)
  法は善人のために作られたるものに非ず。
Laws were made for the rogue
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