読倫理教科書
福沢諭吉

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)取捨《しゅしゃ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)御送付|相成《あいなり》

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(例)[#ここから2字下げ]
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 過般、榎本文部大臣が地方官に向って徳育の事を語り、大臣は儒教主義をとる者にして、いずれ近日儒教の要を取捨《しゅしゃ》して、学生のために一書を編纂せしむべしとのことなり。然るに、徳教書編纂の事は、先年も文部省に発起して、すでに故森大臣の時に(明治二十年)倫理教科書を草し、その草案を福沢先生に示して批評を乞いしに、その節、先生より大臣に贈りたる書翰ならびに評論一編あり。久しく世人の知らざるところなりしかども、今日また徳教論の再発にさいし、その贈書の草稿を左に記して、読者の参考に供す。

      書翰
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過般、御送付|相成《あいなり》候『倫理教科書』の草案、閲見《えっけん》、少々意見も有之《これあり》、別紙に認《したため》候。妄評御海恕|被下度《くだされたく》、此段、得貴意《きいをえ》候也。
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