中元祝酒の記
福沢諭吉

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)人々《にんにん》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)慶応四年|戊辰《つちのえたつ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から2字上げ]
−−

『西洋事情外篇』の初巻にいえることあり。「人もしその天与の才力を活用するにあたりて、心身の自由を得ざれば、才力ともに用をなさず。ゆえに世界中、なんらの国を論ぜず、なんらの人種たるを問わず、人々《にんにん》自からその身体を自由にするは天道の法則なり。すなわち人はその人の人にして、なお天下は天下の天下なりというが如し。その生るるや、束縛せらるることなく、天より付与せられたる自主・自由の通義は、売るべからずまた買うべからず、人としてその行いを正しゅうし、他の妨をなすに非ざれば」云々《うんぬん》と。
 春来《しゅんらい》、国事多端、ついに干戈《かんか》を動かすにいたり、帷幄《いあく》の士は内に焦慮し、干役《かんえき》の兵は外に曝骨《ばっこつ》し、人情《にんじょう》恟々《きょうきょう》、ひいて今日にいたる。ここにおいて
次へ
全4ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
福沢 諭吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング