教育の目的
福沢諭吉

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)頃日《けいじつ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)真実|無妄《むもう》なるを知るべし

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから7字下げ]
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[#ここから7字下げ]
この一編は、頃日《けいじつ》、諭吉が綴るところの未定稿中より、教育の目的とも名づくべき一段を抜抄《ばっしょう》したるものなれば、前後の連絡を断つがために、意をつくすに足らず、よってこれを和解《わげ》演述して、もって諸先生の高評を乞う。
[#ここで字下げ終わり]

 教育の目的は、人生を発達して極度に導くにあり。そのこれを導くは何のためにするやと尋ぬれば、人類をして至大の幸福を得せしめんがためなり。その至大《しだい》の幸福とは何ぞや。ここに文字の義を細かに論ぜずして民間普通の語を用うれば、天下泰平・家内安全、すなわちこれなり。今この語の二字を取りて、かりにこれを平安の主義と名づく。人として平安を好むは、これをその天性というべきか、はた習慣というべきか。余は宗教の天然説を度外視する者な
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