うぐう》を失うの例も少なからず。親戚《しんせき》朋友《ほうゆう》の注意すべきことなり。一度《ひとた》び互に婚姻すればただ双方|両家《りょうけ》の好《よしみ》のみならず、親戚の親戚に達して同時に幾家の歓《よろこび》を共にすべし。いわんや子を生み孫を生むに至ては、祖父を共にする者あり、曾祖父を共にする者あり、共に祖先の口碑《こうひ》をともにして、旧藩社会、別に一種の好情帯を生じ、その功能《こうのう》は学校教育の成跡《せいせき》にも万々《ばんばん》劣《おと》ることなかるべし。
底本:「明治十年丁丑公論・瘠我慢の説」講談社学術文庫、講談社
1985(昭和60)年3月10日第1刷発行
1998(平成10)年2月20日第10刷発行
※旧字の「與・餘・竊」は、底本のママとしました。
入力:kazuishi
校正:田中哲郎
2006年11月7日作成
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