うべし」と。日本の婦人、その耳に金環を掛け、小腹を束縛して衣裳を飾ることあらば、論者、人身窮理の端を持ち出して顰蹙《ひんしゅく》して言わん、「はなはだしいかな、不開化の人民、理を弁じて天然に従うことを知らざるのみならず、ことさらに肉体を傷つけて耳に荷物を掛け、婦人の体においてもっとも貴要部たる小腹を束《つか》ねて蜂の腰のごとくならしめ、もって妊娠の機を妨げ、分娩の危難を増し、その禍《わざわい》の小なるは一家の不幸を致し、大なるは全国の人口生々の源を害するものなり」と。
 西洋人は家の内外に錠を用うること少なく、旅中に人足を雇うて荷物を持たしめ、その行李《こうり》に慥《たし》かなる錠前なきものといえども常に物を盗まるることなく、あるいは大工、左官等のごとき職人に命じて普請を請け負わしむるに、約定書の密なるものを用いずして、後日に至り、その約定につき公事《くじ》訴訟を起こすことまれなれども、日本人は家内の一室ごとに締りを設けて座右《ざゆう》の手箱に至るまでも錠を卸し、普請請負いの約定書等には一字一句を争うて紙に記せども、なおかつ物を盗まれ、あるいは違約等の事につき、裁判所に訴うること多き風
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