三ヵ月の間にこれを読み終わらんと約したる者、はたしてよくその約のごとくしたるや。有志の士君子「某《それがし》が政府に出ずれば、この事務もかくのごとく処し、かの改革もかくのごとく処し、半年の間に政府の面目を改むべし」とて、再三建白のうえようやく本望を達して出仕の後、はたしてその前日の心事に背《そむ》かざるや。貧書生が「われに万両の金あれば、明日より日本国中の門並《かどな》みに学校を設けて家に不学の輩なからしめん」と言う者を、今日良縁によりて三井・鴻ノ池の養子たらしむることあらば、はたしてその言のごとくなるべきや。この類の夢想を計れば枚挙《まいきょ》に遑《いとま》あらず。みな事の難易と時の長短とを比較せずして、時を計ること寛に過ぎ、事を視ること易《い》に過ぎたる罪なり。
また世間に事を企つる人の言を聞くに、「生涯のうち」または「十年のうちにこれを成す」と言う者はもっとも多く、「三年のうち」、「一年のうちに」と言う者はやや少なく、「一月のうち」、あるいは「今日この事を企てて今まさにこれを行なう」と言う者はほとんどまれにして、「十年前に企てたることを今すでに成したり」と言うがごときは余輩いま
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