は、なお首なき人の如し。
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第八、経済学
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人間衣食住の需用を論じこれを製しこれを易《か》え、これを集め、これを散じ、人の知識礼義を進めて需用の物を饒《ゆたか》にする所以《ゆえん》を説き、これを大にすれば一国政府の出納、これを小にすれば一家日常の生計、自然の定則にしたがう者は富をいたし、これに背く者は貧をいたすの理を明らかにするの学問なり。この学問に暗き者は、自から富むも、その富のよって来たるところを知らず、自から貧なるも、その貧をいたせし源由を知らざれば、富者は貧をいたしやすく、貧者は富を得がたし。ゆえに経済書を学ばざるものは、巨万の富豪も無産の貧漢に異ならず。
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第九、法律書
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人の生命・家産を重んじ、正をすすめ邪をとどむるの法を論じたるものなり。法律に暗き人は、知らずして罪を犯し、知らずして法にしたがうことあり。あたかもその生命・家産を偶然に保つ者というべし。
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一、右の条々は、人生欠くべからざる学問なり。あるいは、
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