学校の説
(一名、慶応義塾学校の説)
福沢諭吉

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)為政《いせい》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)良民|乏《とぼ》しきのみ

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(例)[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
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[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
一、世に為政《いせい》の人物なきにあらず、ただ良政の下に立つべき良民|乏《とぼ》しきのみ。為政の大趣意は、その国の風俗、人民の智愚にしたがい、その時に行わるべき最上の政を最上とするのみ。ゆえにこの国にしてこの政あり、かの国にしてかの政あり。国の貧弱は必ずしも政体のいたすところにあらず。その罪、多くは国民の不徳にあり。
一、政を美にせんとするには、まず人民の風俗を美にせざるべからず。風俗を美にせんとするには、人の智識聞見を博くし、心を脩め身を慎むの義を知らしめざるべからず。けだし我が輩の所見にて、開知・修身の道は、洋学によらざれば、他に求むべき方便を知らず。歴史を読みて、その実証を見るべし。世の士君子、もしこの順席を錯《あやま
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