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牡丹散る日も夜も琴を掻き鳴らし遊ぶ我世の果つる如くに
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牡丹散るとそこで切つて読むのである。またしまひは遊ぶ我が世と続くのであらう。咲き誇つた牡丹の花も遂に散つた、それを見た美女が私達は日夜管絃の遊びにふけつてゐるが其の終りもこんな風なのであらうと忽ち無常観に打たれた処であらう。
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男体の秋それに似ぬ臙脂《えんじ》虎と云ふものありや無しや知らねど
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紅葉の真盛りの男体山を真向正面から抒して、まるで臙脂色の虎――もしそんなものがゐたら――赤い斑の虎のやうだといつたのである。しかし臙脂虎とは紅をつけた虎の意味で悍婦を斥すと辞書にある。従つてありやなしや知らねどといふ言葉の裏には悍婦の意も自ら含まれてゐるのであらう。又同じ時同じ山を詠んだ歌に 歌舞伎座の菊畑などあるやうに秋山映る湖の底 わが閨に水明りのみ射し入れど全面朱なり男体の山 などがあり、又戦場が原に遊んでは 宿墨をもて立枯の木をかける外は白けし戦場が原 さるをがせなどいふ苔の房垂れて冷気加はる林間の秋 といふ様なすばらしい歌もこの時出来
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