観ずれば立派に家にあつて御月見が出来、こみあふ乗物などに乗つてわざわざよそへ出掛けるにも当らないのである。

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凋落も春の盛りのある事も教へぬものの中にあらまし
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 子供もだんだん大きくなつて来たが、さて人生につき何を教ふべきであるか。これから伸びゆく人々に人生にも凋落期のあることなどを教へるには当るまい。しかしそれと同時に、春の盛りに比すべき最盛時のあることも教へたくない。教へなくとも子は自覚する。自覚したものでなくては用を為さぬからである。これも尋常の考へではない。尋常なら凋落だけであつて、それでは歌にはならないのである。

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炉はをかし真白き灰の傍に二つ寄せたる脣も見ゆ
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 長椅子に膝を並べて何するや恋しき人と物思ひする といふ歌が成長するとこの歌になる。前の場合では作者は第二人とともに歌ふのであるが、この場合は第三者たる「炉」の位置に身を置いて観察するので、何れの場合も一寸目先が変つてゐて珍しい、さうしてそこに新鮮味が生れるのである。

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激しきに過ぐと思ふは涙
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