読者はその調子のすばらしさを味はつて生甲斐を感じて欲しい。
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水落つる中に蹄の音もして心得難き朝朗かな
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作者が単行本として出した最後の集は第十九集「心の遠景」である。この集に就いて作者はこんなことを云つてゐる。「若し私が長生するならば、斯くいふ今日の言葉に自ら冷汗を覚える日が無いとも限らないのであるが、とにかく小さい私の作物として、今日は「心の遠景」を最上の物として考へてゐるのである。」それは昭和四年の事であつたが、その後の事実は作者の予想した通りで、作者の表現法は年と共に進んで極る所がなく、「心の遠景」なども忘却の靄の中に埋没してしまふ許り影の薄い存在となつたのである。しかし今私が若い頃からの全詠草を順序を立てて見直して来てすぐ気が付いたことは、まだまだこの辺までは真の自由を得て居ないといふことである。その証拠は「太陽と薔薇」の自序にある。曰く「私は久しく歌を作つて居ながら、まだ自分の歌に満足する日が無く、絶えず不足を感じて忸怩としてゐる人間です。自分はもう歌が詠めなくなつたと悲観したり、歌と云ふものはどうして作るものであつたかと
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