が如く訴ふるが如き姿態などは夢にも知らぬ様だ。折角頂いた牡丹だが、牡丹に口なし、乃ち代つて私がその美を語らう。私は長安の貴女楊氏です、人を怨むなどといふさもしい事は知りません。
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蘭の鉢百も並べて百体の己を見るも寂しはかなし
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澁川玄耳さんが山東省へ行つたきり遂に帰つて来ない。しきりに蘭を蒐集して閑を遣るものの如くである。一鉢一鉢に自己を打ち込めば百鉢には百鉢の玄耳があらはれるわけだが、我と我が姿を見てもはじまらぬではないかと遠くその心情を憐んだ[#「憐んだ」は底本では「憐むだ」]歌である。も一首 泰山を捨てゝ来よとも云ひなまし玄耳の翁|唯人《ただびと》ならば といふのがある。常人でない玄耳さんの事故泰山なんか捨ててしまつて帰つて御出でなさいと単純にも云へないのである。
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錦木に萩もまじれる下もみぢ仄かに黄なる夕月夜かな
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錦木の下に萩の植込みがあり、錦木は牡丹色に萩は黄色にもみぢしてゐる。その上に夕月が掛つた。そのうちに錦木の紅は黒く消えてしまつて萩もみぢの黄色のみが仄かに浮き出し
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