の歌がある。実際渋谷の家も千駄谷の家も表は向日葵で輝いてゐた、蒲原有明先生の如きもこの花を当時の新詩社の象徴だつたとして囘顧し居られる。
[#ここから2字下げ]
たかだかと太鼓鳴り出づ鞍馬山八島にことの初まりぬらん
[#ここで字下げ終わり]
同じ時鞍馬山に遊んだ作の一つ。貫主僧正が御弟子さんなので屡※[#二の字点、1−2−22]遊ばれ、この折は金剛寿命院の新築が成功した際とて沢山歌を読まれてゐる。急に太鼓が鳴り出したのでおや八島で戦ひが初まつたらしいといふ牛若の生長した義經を使つたノンセンスを言ひ構へ、それに依つて当の鞍馬の情景を彷彿せしめた歌だ。こんな手法は相当の達人でなければやれない事だが又やつてはならない事でもある。
[#ここから2字下げ]
八月や水蘆いたく丈伸びてわれ喚びかねつ馬洗ふ人
[#ここで字下げ終わり]
蘆が伸びて視界を隠した為、呼んでも声が届かない様な錯覚に陥る、そこに興味の中心が置かれてゐるやうであるが、その田舎びた環境と共に珍しい面白い歌である。
[#ここから2字下げ]
花見れば大宮の辺の恋しきと源氏に書ける須磨桜咲く
[#ここで字下げ終わり]
前へ
次へ
全349ページ中25ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
平野 万里 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング