ゐるがこんな例は多くはない。多くない例を用ひるから歌が成立するので、この場合は万といふ大きな数が歌を動かす動力となつてゐるわけである。
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衰へし身とは夢にも思はれず苦しき毒を服しけるかな
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もし少しでも自らの衰へを感じてゐたなら、こんな苦しい毒は呑むのでなかつた。自分の既に若くないことに気づかず、衰へたなどとは夢にも思つてゐなかつたことの罪である。毒は恋で、中年女の悩みを歌つたものであらう。
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不可思議は天に二日のあるよりも我が体に鳴る三つの心臓
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先に七瀬八峰の二女を双胎として生んだ体験から今度もきつとさうだと思ひ込まれて作られた歌である。この時は余程心を悩まされたものと見え この度は命危ふし母を焼く迦具土二人我が胎に居る とも作られてゐる。
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雑草は千万行の文章も人に読まれずうら枯れにけり
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これは独り雑草の運命である許りでなく、数十億の人類の運命であり、又一切万有の辿る途でもある。唯誰も思ひ到らないだけだ。作者はよくこの事に気
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