たら一体どうなるのだ。有形無形何れかと問はれた若い女の答である。

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山の霧焔なりせば如何ならん白き世とのみ見て許せども
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 これは実に恐ろしい想像である。霧が寄せて山も湖水も草も木も青白いものになつた。見るものはそれを白い世界が出来た位に安心して見てゐるが、もし霧でなくて火焔であつたらどんなものだらう、思つても恐ろしい事だと自分の空想に自分で怯へる不思議な歌である。

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やごとなき君王の妻《め》に等しきは我がごと一人思はるゝこと
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 作者にははじめ山川登美子さんといふ恋の競争者がゐて、その為にどれ程悩んだか知れなかつた。しかしそれは登美子さんの知つたことではなかつたし、その内この妹のやうなお友達も若くして世を去つたので、漸くこの歌のやうな境界が出現した。その後は多少の葛藤はあつても其の儘遂に変ることはなかつた。それを思ふと幸福な一生だつたと言はざるを得まい。この歌の嬉しさうな調子を見ればさう評して間違ひはあるまい。

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