い島にたまたま涌き出してゐる泉と、阿房鳥の信天翁と、これ丈の景物を絵具として描出した一枚の絵である。これを鑑賞するものは、果してそれらが旨く纏つて一個の小天地を成してゐるか如何か、それを調べて見るわけである。
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ほととぎす雨山荘を降りめぐる夜もまた次の暁も啼く
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ほととぎすが一晩中啼く、それを作者は強羅の山荘で聞くのであるが、夜は大雨で山荘を中にとり囲む様な気持で降つて居る、その雨の音を衝いて甲高いほととぎすの声が聞こえる、[#「、」は底本では欠落]作者はそれを聞きながら寝てしまつた、夜が明けて目が覚めると雨はやんだがほととぎすはなほ啼いてゐる、恐らく一晩中啼いてゐたのであらう。この歌にはさういふ場合が特定されてゐるのである。
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旅人は妻が閨なる床《ゆか》に栖む蟋蟀思ふ千屈菜《みそはぎ》の花
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旅人が留守する妻を思ふ歌の代表的なものの一つに軍王の 山越しの風を時じみ寝る夜落ちず家なる妹をかけて偲びつ といふのがある。上代人の単純な線の太い健康さの出てゐる歌である。当時私達は万葉集をし
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